木曜日, 10月 14, 2010

6 茂木健一郎『脳がヨロコブ生き方』(ヒカルランド 2010年8月刊)

 自己啓発系の著書が多いように思われる茂木健一郎であるが、本書は題名はその流れながら、その系統の本ではない(出版社は、氏の「デビュー作」を出してくれた編集者が独立して作った会社だそうで、「恩返し本」のようである。そのためか、氏の「知名度の高い本」の題名を利用して売ろうとしているのだろうが、それはむしろ逆効果になっているかもしれない)。これは、氏のブログをまとめた本であるが、ありがちな、私生活、それも、一般の読者には縁のないような、「セレブな日々」を垂れ流しに綴ったものでもない。 

 いわば、日々の思考のエキスのようなものが、加工を加えず自然のままに綴られている。それゆえ、なにかのテーマのもと、全体を構築していくような文章ではない。意外にも詩的な言葉が美しく流れていく。 

 そのなかに、われわれがインスパイアされるものが多々ある。そこには氏の、フェアな姿勢が自ずと現れている。体系的な哲学書を読むような充実感はないが、頭を働かせるとっかかりにはなる。氏のルーティンに添うことによって、われわれ読書は、おのれのルーティンを計画できるのではないか。 

 文章には、人格のすべてが表れる。本書から窺われるのは、氏の謙虚で良心的な人柄であり、好奇心こそ宝という思想のベースである。 

 1日1日のブログを収録したものではあるが、日付はない。それだけでも、どこか爽やかだ。

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