火曜日, 3月 14, 2006

4穂村弘『本当はちがうんだ日記』(集英社、2005年6月刊)

 この著者も、1962年生まれで、以下の三人と同様、「60年代生まれの男性」である。おもしろそうと手に取ってみる本が、たいていこの年代の男性の本 な のである。まあ、活躍している年代ということでもあろうか。しかし、読んでみると、途中で辟易してくる。日常と、自分の意識との齟齬、もっと言えば、自意 識の表と裏を「正直に」綴ってみせたエッセイで、こんなふうに、はみ出した気持ちになっていたのは、自分だけではないんだ、と「共感を覚える」のだが、あ んまり、いい年して、「女の子といちゃついて」いる「日常」など書かれたら、いくら「エッセイはフィクションでもいい」、いや、「エッセイこそフィクショ ンだ」とはいえ、その「ココロザシ」に疑問を呈してくる。
 オマケとして、歌集『ラインマーカーズ』(小学館、2003年6月刊)。

  ハーブティーにハーブ煮えつつ春の夜の嘘つきはどらえもんのはじまり

 この歌から穂村に入門した私だが(さしずめ、この歌など、いまどきは、名前を入れ替えて使われていそうであるが(笑))、

  愚かなかみなりみたいに愛してやるよジンジャーエールに痺れた舌で

 とか、

  キスに眼を閉じないなんてまさかおまえ天使に魂を売ったのか?

 などという雰囲気の歌が中心となるところに引き込まれると、大胆な性描写で有名な女性俳人や歌人なども思い出されて、まあ俳人とか歌人とか、文章の芸術が短い形式になると、それだけ、大胆にやりたくなるのだろうか? 「真実」でないにしても……と思ってしまう。
 歌人というのは、塚本邦雄にしろ、寺山修司にしろ、読んでいるとうっとうしくなるが、この穂村弘も、同様なのであった……。